シガリット・ランダウ~死海の水中で生まれたインスタレーション『When I Go』を大阪初公開

イスラエルで最も著名な現代アーティストの一人、Sigalit Landau(シガリット・ランダウ)が、「Osaka Art & Design 2025」に出展。6月5日から26日まで、地球上で最も標高の低い場所、死海の塩水の中で制作した『When I Go』が大阪で初めて展示されました。
インスピレーションの源である死海のアート
「Osaka Art & Design 2025」は、大阪の街を巡りながら、さまざまな地域で創造的な作品に出会える都市型のアート&デザインイベント。来場者は街全体を美術館のように楽しみながら、アート、家具、ファッションなどの作品を眺め、体感し、気に入った作品はその場で購入することも可能です。
古くからイスラエルは、国際的に高く評価される芸術家を多数輩出してきました。また、文化的多元主義はイスラエルのアイデンティティの核心であり、イスラエルのアートシーンは、伝統的なものから現代的なものまで、その多面的な社会を反映しています。今回、来場者が自由に楽しむアート&デザインイベントにおいて、その魅力はどのように伝わったのでしょう。
ランダウにとって、死海はインスピレーションと歓び、そして痛みの源であり続けています。会場ではインスタレーションに加え、彫刻、映像、写真なども紹介され、貴重で繊細な自然環境である死海を舞台に、ランダウ氏が長年取り組んできた「採集」「探求」「儀式」といった営みが表現されました。

鑑賞者が深く思いを巡らせるアート
6月5日には、50名を超える業界関係者を迎え、作品のオープニングレセプションを開催。作品を公開するとともに、アートディレクターhideya氏とのトークセッションを通じて、ランダウが自身の作品に込めた想いや背景が語られました。


「『When I Go』は、個人的な夢と集団的なナラティブの間に存在する沈殿物、緊張、そして不協和を描き出します。この土地にある美しさに目を奪われ、またその美しさに覆い隠された物事、内なる葛藤と外的な対立を抱えるこの地で、それらが併存しているのです。文化的記憶、変容、そして環境破壊の加速といったテーマを通じて、『When I Go』は鑑賞者に問いかけます。文化と場所、土地と帰属、国境と相互依存。その関係性について、深く思いを巡らせるきっかけとなることを願っています」。
駐日イスラエル大使、ギラッド・コーヘンは、「死界の塩と大自然のスピリットによって形づくられた彼女の驚くべき作品は、イスラエルの創造性と豊かな文化の一端を、深く印象づけるものです。多くの方々が『When I Go』を通じて、彼女の創造の鼓動を感じ取ってくださることを願っています。そして今後も、イスラエルと日本のユニークで豊かな文化をフィーチャーした、さらなるコラボレーションが生まれることを楽しみにしています」と語りました。

文化を通じて深まるイスラエルと日本の絆
本展示は、2025年大阪・関西万博におけるイスラエル・パビリオンのプログラムの一環として実施されたもの。日本で開催されているEXPOを通じて、イスラエルと日本の絆を再確認し、イスラエルの多様性、最先端アートに代表される豊かな文化を知っていただく機会でもあります。

イスラエル・パビリオンでは、多様性と活気にあふれるイスラエル文化の魅力を体感できるカルチャーイベントも順次開催予定。今回のアート展示に加え、今後予定されているダンスパフォーマンスや映画上映など、多彩なプログラムを通じて、イスラエルの文化をより深くご体験いただけます。
カルチャーを通じて、お互いをより深く知り、多様なコラボレーションを世界へ向けて発信していくこと。国境を越えてイスラエルと日本が手を携え、より豊かな未来を築くために前進していきます。
Sigalit Landau シガリット・ランダウ プロフィール
1969年、エルサレム生まれ。テルアビブを拠点に活動するイスラエル人アーティスト。身体性と詩的な感性を融合させた作品を通じて、政治的な歴史や境界、身体、記憶、人と人との関係性の脆さ、そして「居場所のなさ」といったテーマを探究している。
2008年、ニューヨーク近代美術館MoMAで『プロジェクト87』を発表。2011年には、ヴェネツィアビエンナーレのイスラエル館で個展を開催。ランダウの作品は、2001年に埼玉県立近代美術館で開催された展覧会「イスラエル美術の現在」で日本初公開された。
2011年の「ヨコハマトリエンナーレ」では、死海に浮かぶ自身の姿を500個のスイカが囲む映像作品『DeadSee』(2005年)や、有刺鉄線に塩の結晶をまとわせた彫刻群が上映・展示され、大きな注目を集めた。
2014年には、銀座メゾンエルメス フォーラムで日本初の個展を開催。


